先日、こんな記事を書きました。
EcoBitはネタ要素豊富で、ネタとしては受けたのですが、どうも\(P=\frac{C}{r}\)あたりが難しいという声がちらほらあり、広く理解をいただいたというわけではなさそうでした。
ノアコインが無価値である理由もEcoBitと同様であるので、説明します。
まず断っておくと、
$$P=\frac{C}{r}$$
を直感的に理解することはできません。直感的に理解できるのは、
$$P=\frac{C}{\left(1+r\right)}+\frac{C}{\left(1+r\right)^2}+\cdots+\frac{C}{\left(1+r\right)^\infty }$$
のほうです。
割引についてはEcoBit編で説明しているのでそちらをご覧ください。
株式を例にとってみてください。単純化のために、配当は常に同じとします。
1年後に配当\(C\)がもらえます。
2年後も配当\(C\)がもらえます。
…
\(\infty\)年後も配当\(C\)がもらえます。
ですが、\(n\)年後に手に入るお金の価値は割引されるとEcoBit編でご説明しましたよね。
なので、
1年後に配当\(C\)がもらえます。でもその価値は今から見ると\(\frac{C}{\left(1+r\right)}\)です。
2年後も配当\(C\)がもらえます。でもその価値は今から見ると\(\frac{C}{\left(1+r\right)^2}\)です。
…
\(\infty\)年後も配当\(C\)がもらえます。でもその価値は今から見ると\(\frac{C}{\left(1+r\right)^\infty}\)です。
となりますよね?これらをすべて足し合わせたもの
$$P=\frac{C}{\left(1+r\right)}+\frac{C}{\left(1+r\right)^2}+\cdots+\frac{C}{\left(1+r\right)^\infty}$$
が、配当付き証券の価値になるわけです。
で、この式は無限等比級数の和の公式で
$$P=\frac{C}{r}$$
に単純化できるというわけです。
ですがEcoBitやNoahCoinが無価値である問題の本質はこの先にあります。
めちゃくちゃかみ砕いていうと、「もらえる配当に価値があると誰が言った?」ということです。
「配当があるなら価値がある」と思い込みがちですが、「その配当に価値はない」なら、配当付き証券は無価値です。
なぜなら、EcoBitやNoahCoinを払えば何らかの財(換金でもサービス提供でも何でもよい)を提供してくれる人がいないからです。
EcoBitもNoahCoinも配当がありますが、その配当が無価値です。なのでEcoBitやNoahCoinも無価値ということになります。おや?なにかループしてきましたね。
そうです、これがEcoBit編で言っていた「トートロジー」です。
価値が付くかは、「配当があるかないか」に左右されることはありません。
払えば何らかの財(換金でもサービス提供でも何でもよい)を提供してくれる人がいるかいないかに尽きます。
おわかりいただけたでしょうか?