非中央集権って言うけど、結局中心となる開発チームがあり、そこには中心人物がいるわけだよね。システムやプロダクトは非中央集権の設計がされているけど、コントロールする側、利益を得る側はバリバリの中央集権。そいう考えるとBTCもリップル社も対して違いはなさそうだけど。
— 澤亜澄 Sawa Azumi (@SawaAzumi) 2018年2月18日
地球を非中央集権的な物体と思うと、この現象を理解するのはけっこう簡単かも。 https://t.co/2CjaGdmK3Y
— トレスト(D+) (@TrendStream) 2018年2月18日
中央集権のなにがメリットで非中央集権のなにがメリットなのか、これをまとめたいと思います。
まずは中央集権のメリットから。
中央集権のメリット
- 意思決定が迅速
- 責任の所在が明確
これの裏返しがそのまま非中央集権のデメリットになります。
非中央集権のデメリット
- 意思決定が遅い
- 責任の所在が不明確
つぎ、非中央集権のメリット。
非中央集権のメリット
- 中央を信頼する必要がない
- 中央の意思が優先されない
これの裏返しがそのまま中央集権のデメリットになります。
- 中央を信頼しなければならない
- 中央の意思が優先されがち
これらを、具体例に当てはめていき、順序を追ってブロックチェーンの場合どうなるか説明しましょう。
政治
- 意思決定は早いほうがいい
- 責任の所在は明確でなければならない
- 信頼されるに値しなければならない
- 上層だけでなく下層の意思もくみ取らなければならない
この場合、1.と2.を満たすためには、中央集権的にならなければなりません。3.は、国家ならば問題にはなりません。一方で、4.を満たさなければならないので、結論としては
下層の意思をくみ取れるように適切な分権化がなされている、中央主体の存在するシステムが望ましい
ということになるかと思いますが、程度というのははっきり言って人によるとしか言えないと思います。だからこれだけ分権化について政治闘争が繰り返されているんですね。
通貨
- 意思決定ができるなら、通貨システムへの介入を考えられる
- 発行主体が存在するなら、信頼されるに値しなければならない
この場合、どうなるでしょう。中央集権によるべきか非中央集権によるべきか。
はっきりいって人によるとしか言えないと思います。信頼された中央銀行が必要あれば介入していくほうが望ましいと多くの人は考えるでしょうし、アナーキスト、リバタリアンはビットコインのような発行主体の存在しない通貨が良いと考えると思います。
どんどん抽象化していきますね。
情報移転システム
- 意思決定はいらない
- 自己責任で構わない
- 主催者が存在するなら、信頼されるに値しなければならない
情報移転システムの例を挙げましょう。
飛脚
飛脚を信頼しなければなりません。
伝書鳩
鳩を信頼しなければなりませんw
インターネット
非中央集権的で、信頼は不要です。
で、情報移転システムというのはそれ自体で完結するだけでなく、さらに上層に乗るシステムの基盤にもなりますよね。例えば、1か月で伝書鳩から届いた書物を数えるサービスができたとしましょう。このサービスは、伝書鳩という情報移転システムのレイヤーに乗っかったシステムだといえるわけです。
あるシステムが乗っかるレイヤーが中央集権的だった場合そのレイヤーを信頼するリスクが出てきます。例えば伝書鳩から届いた書物を数えるシステムができた場合、その数えるシステムを使うユーザーは、数えるシステムだけでなく、伝書鳩システムの主体である鳩も信頼しなければならないんですよ。途中で鳩がバックレた場合、送り主が送った数と送り先が受けた数が一致しなくなりますよね。笑
ところが、乗っかるレイヤーが非中央集権的な場合です。インターネットを考えましょう。インターネットという情報移転システムのレイヤーの上に、ツイッターなどいくつものサービスが乗っかっていますが、ユーザーはツイッターを信頼するだけで済みます。インターネットは信頼不要の非中央集権システムですからね。
あるシステムを使うユーザーが、そのシステムが乗っかるレイヤーまで信頼するのはリスクとなりますから、非中央集権なインターネットにツイッターなどが乗っかるのは合理的なんですよ。
次、本題です。
価値移転システム
- 意思決定はいらない
- 自己責任で構わない
- 主催者が存在するなら、信頼されるに値しなければならない
価値移転システムの例を挙げましょう。
証券取引サービス
信頼が必要です。
プラットフォーム型ブロックチェーン
ご存知の通り、信頼不要です。
例えば、ある証券取引サービス上で動く、自動売買システムが販売されたとしましょう。ユーザーは、自動売買システムに加えて、自動売買システムが乗っかっている証券取引サービスも信頼する必要があります。
このレイヤーへの信頼を回避するために出てきたのがDEX(分散型取引所)といえるわけです。
プラットフォーム型ブロックチェーンは、インターネットのように非中央集権的に、価値の移転を可能にする基盤レイヤーなんです。
低級なレイヤーへの信頼を不要にしているんですね。
結論
通貨がどれほど非中央集権的であるべきかは、はっきりいって終わりのない議論でしょう、個人の好みなんですから。中央集権でも構いません。
ですが、通貨は中央集権が好ましいと思うからと言って、NEMやイーサリアムのようなプラットフォーム型のブロックチェーンの話は一切関係ありません。
さらに、ブロックチェーンに乗っかるサービスが中央集権的であっても、ブロックチェーンが非中央集権的であることのメリットは消えていません。ブロックチェーンが非中央集権的なおかげで、ユーザーは低級のレイヤーへの信頼をせずに済んでいるわけですからね。
これが、トレストさんが地球にたとえた理由なんじゃないですかね?
もちろん、ビットコインなど、プラットフォーム型とはいえないものは知りません。