ご無沙汰しております。仕事納めされた方も多いのではないでしょうか。
私は仕事納めとかいう概念関係なくいつもどおり情報収集・学習・研究・開発とやっておりますが、一息ついて本記事を書こうかと思います。
題して、「総合コンサルバブルとITエンジニアバブルは当分終わらない説」。
本記事を書いております私は22歳でして、大学院の同年代には就活真っ盛りな人が多いほか、同年代に学部卒で就職した人も当然ながら多数おります(私はソフトウェア技術をすでに持っていて、起業して日々活動しているタチなので、現在就活とは無縁な生活を送っていますが。)
これら私の観測範囲の中で、「総合コンサル」の就活生からの人気っぷりは凄まじいものがあります。アクセンチュア、デロイトトーマツ、PwC、とかとか。
一言で言えばバブルの様相を呈しています。これは私の観測範囲内だけではないでしょう。おそらく同年代の方ほとんどが同様の光景を見ているに違いありません。
尖った人がコンサルに行く時代ではありません。尖っていると言うよりは総合力が高い人がコンサルに行く傾向が高まっています。
「コンサルのコモディティ化」(コンサル当事者の方には少々不快な表現かもしれませんし、私はこの表現の是非に与しないことを断っておきます)を指摘する声も多いです。
なぜバブル?
なぜコンサルバブルが起きているのか、なぜコモディティ化してまでコンサルが必要とされるのか。
これはすでに様々な識者が指摘していたりしますが、
- 終身雇用制をベースに、総合職を最大の戦力としてきた日本的企業構造では生産性が伸びなくなっており、限界が来ている
- サービス業の生産性の伸びがとうの昔から頭打ち
がコンサルバブルを生み出していることが考えられます。
労働需要の観点からは、企業(やサービス業)の課題抽出、といった点でコンサルが需要されます。
労働供給の観点からは、将来性が感じられない(属企業的スキルに特化しやすいため、企業依存のキャリアとなりやすい)大企業総合職よりも、問題解決思考能力を得ることができ、自立的にキャリアを選択しやすいコンサルに就活生が殺到し、労働力が供給されます。
このいわゆる「コンサルバブル」はこのような労働需要と労働需要に裏打ちされた減少であり、「需要なき価格上昇」としての「バブル」という表現は本質的には「バブル」ではないということもできるのではないでしょうか。
したがってここでは「コンサルバブル」を、「コンサル人気殺到状態」であり、「需要なき価格上昇」ではない、と定義します。
話がそれましたが、コンサルバブルは上記のような要素を原因として、起こるべくして起こっています。
終身雇用制とデジタルトランスフォーメーション
コンサルバブルは一旦置いておき、次はITエンジニアバブルの観点を見ましょう。
ITエンジニアバブルが指摘されていることも、周知の事実かと思います。
新卒の学生からITエンジニアとして就職するのは(コンサルに比べれば)依然少数ですし、中途の社会人がプログラミングスクールに通ってITエンジニアに転職したとかなんとか、プログラミングスクール行ってもなにも変わらなくってスクールが炎上したとかなんとかいろいろありあますが、少なくとも「きつい」「厳しい」「帰れない」(まとめて3K)、「IT土方」と言われていた時代とは潮目が変わっていることは間違いありません。
Web,モバイル系であればFirebase(サーバーレス、フロントエンドとデータベース間のリアルタイムアップデート)のようなアーキテクチャが勃興し、業務ロジックを実行する生産性も日に日に高まっています。
参考: https://qiita.com/hecateball/items/c55b6811835923fb9574
このFirebaseのような生産性の高まりが、ITエンジニアの労働需給に影響を与えていることは十分にあります。とはいえ、あくまでWeb,モバイル領域からムーブメントが始まったばかりです。IT全体でバブルを引き起こしている要因はなんでしょうか。
それは当たり前のことで言うまでもないでしょうけれども、生産性の伸び悩んだ日本的企業、サービス業にはデジタルトランスフォーメーションが必要であるとやっと気づき(もしくは動き始めているか、デジタルトランスフォーメーション「ごっこ」をすでに行っている)、その影響がじわじわと出てきているからではないでしょうか。
※デジタルトランスフォーメーション…ITによりビジネスモデル等を改善させること、とここでは定義しておきます。
ポイントとなるのは、コンサルバブルもITエンジニアバブルも、原因が近しいことです(それほど驚くことでも目新しい発見なわけでもないが)。
アクセンチュアのようなコンサルファームが、さながらSIerと化しているように見えることと無関係ではありません。
過渡期の技術としてのRPA
RPA(ロボティックプロセスオートメーション)は、定形業務の自動化など、デジタルトランスフォーメーションの旗振り役(?)として日本である種のムーブメントが発生しています(いました)。
RPAは超単純な例を出すと、たとえばレシート画像から、深層学習を用いてテキストを認識し、エクセルに落とし込んでいくといった業務を全自動で行ってくれます。
RPAは、アナログな世界(紙のようなアナログ媒体)とデジタルな世界(例えばエクセル)とのインターフェース、言い換えれば窓口として機能しているわけです。つまりRPAは過渡期の技術であり、最終形態ではありません。
最終形態は、そもそもレシートが紙なんかではなくて、紙というアナログ媒体からデータ取るまでもなく、根本的にデジタル媒体から経費情報などをすべて取ってこれるような世界のはずです 。
すなわち、先程申し上げたとおりRPAは現在ある種のムーブメントを引き起こしていますから、日本のデジタルトランスフォーメーションは「過渡期の道半ば」とも言えるでしょう。「最終形態へ向けての道半ば」では、決して無いのです (RPAは不要だと言ってるわけではまったくないので、誤解なきよう。過渡期として必要な技術です) 。
したがって、日本のデジタルトランスフォーメーションの旅程は、果てしなく果てしなくまだまだ長いのです。
コモディティ化の行き着く先
まとめると、企業構造やサービス業の業界構造が根本的に頭打ちとなってデジタルトランスフォーメーションが産声をあげている(というか結構前からあげた)が、デジタルトランスフォーメーションは過渡期の道半ばであり、最終形態へ向けての道半ばでは決して無いことから、「コンサルバブル」「ITエンジニアバブル」は当面終わらない説を提唱します。
では、このまま、かつては尖った人が行く業界だったコンサル、ITエンジニアのスキルがコモディティ化すると、どこに行き着くのでしょうか?
それは、
- 「一億総コンサルごっこ、一億総ITエンジニアごっこ」の方向に向いながらも、
- いわゆる人工知能の発展やデジタルトランスフォーメーションの進展によって「コンサルごっこやITエンジニアごっこができない人」が労働市場から脱落していき、
- 自動車生産など、日本的企業構造がむしろ強みになっていると言えるような業界が「コンサルとITエンジニアを除いて人間的な活動ができる職種」として人気の職種と化し、
- 半数がベーシックインカム(や同等効果を持つ負の所得税)に頼った虚無の生活を送る世界線や、ポストケインズ経済学の言うようなJob Guarantee Program(JGP)にて大多数の人がコンサルごっこやITエンジニアごっこの教育を受ける世界線
に落ち着くのではないでしょうか。
したがって、コンサルバブル、ITエンジニアバブルは当面終わらないと考えます。
いずれは、今ITエンジニアがやっている業務のうち、「定型的な」ソフトウェア開発はいわゆる人工知能が置き換えていく可能性もありますが、コンサルもエンジニアも「フレーム数」が多いため、ディープラーニングをもってしても、AIが代替するまでにはデジタルトランスフォーメーションとは比べ物にならない時間がかかる、もしくはモデルの学習にかなりの時間がかかると考えています。
参考:フレーム問題
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