みなさんこんにちは。
ネットMMT関連の議論が最近テンプレ化しているのでそろそろアンチパターン集を作るときが来たなと思ったので作っときます。
ブロックチェーンや機械学習関連の記事はまた気が向いたら書きます…。先鋭化した技術記事はあんま読まれないしな…。
政府の借金は国民の資産。無限に増えても問題ない
これはMMTというよりもMMTをいいように都合よく解釈してるネットMMT(またの名、和製MMT)の主張のような気もしますが、そういう一派の主張です。アンチパターンなので真似はよくありません。
たしかに会計上では政府の借金は国民の資産になりますが、国民の資産が雪だるま式に無限大に増えたらなにか問題が発生するのは自明ですよね?
この記事読みましょう。
インフレや、格差拡大(国債を保有している人としていない人で無限に格差が広がります)が発生します。
MMTの一派(ビル・ミッチェルらへん)はこれへの対策として”国債を廃止”するということを主張しています(ランダル・レイの解説によれば、これは中央銀行が市中の国債を全て買い占める行為と効果は同じです)。
“雪だるま式の国債増加への問題意識→ビル・ミッチェルの主張”というロジックの向きなので、いくらビル・ミッチェルのロジックを持ち出しても、雪だるま式の国債増加への問題意識を否定することはできません。
基礎的財政収支を黒字化しないといけない
こちらは、MMTとは逆の主張ですが、よくあるアンチパターンです。
この記事をもう一回読みましょう。基礎的財政収支の定義は記事の中に書いてあります。
大事なのは、中央銀行への利払い返却分を考慮にいれた財政収支です。
MMT派は税金撤廃を主張しろ
反MMT派がMMTを攻撃しようとしたときによくある藁人形論法です。
なぜアンチパターンかというと、こういうことです。
相手が主張していないことを批判するのは、主張の正しさとは全く無関係にアンチパターンな行動です。
政府支出が伸びるとGDP成長率は伸びる
統計学・計量経済学を知らないという無知が一発でばれてしまうアンチパターンです。
まずこれ、単純な線形回帰分析ですが、回帰分析は相関しか示すことができず、因果を示すことはできません。因果には向きがありますが、相関には向きはありません。
つまり、このグラフだと、名目GDPが伸びたから政府支出が伸びているのか、政府支出が伸びているから名目GDPが伸びたのか、区別ができません。
なのに後者だと断定するのはアンチパターンです。無知がバレます。
主流派経済学のルーカス批判は間違っている
“主流派経済学のルーカス批判は間違っている。政府の借金を全て税金で返さないといけないという結論を主流派は出しているからだ”
これはMMT側のアンチパターンです。たしかに”政府の借金を全て税金で返さないといけない”というのは先ほどの記事のドーマー条件の考察を考えても、過剰な制約であるのはたしかです。ですがそれはルーカス批判とは全く無関係であり、この文脈であれば言うなら
“ルーカス批判から導かれた動学期待のフレームワークのモデルの中で、政府の借金を全て税金で返さないといけないという仮定は変えるべきである”
くらいしか言えません。
“主流派経済学のフレームワーク”と、”主流派経済学のフレームワークの中で使われているモデルの仮定”を混同している例が多いです。
MMTは貨幣の中立性を否定する
貨幣の中立性の定義がかみ合っておらず混乱しているアンチパターンです。
短期においては貨幣の分配の比率の問題(偏って分配されると中立性を持たない)や貨幣錯覚などによって貨幣の中立性は基本的に成り立たず、長期において考えられるものであるというのが貨幣の中立性ですから、
“(長期では)貨幣の中立性は成り立つ”という議論に対して”(短期では)貨幣の中立性は成り立たねえよ!”という議論をしても意味がないのは明らかですね。
また、長期においても貨幣の中立性が成り立たない、という主張も考えられますが、これは”長期においても分配の比率の問題が持続する”と仮定することによって得られる結論ですので、”長期においても分配の比率の問題が持続する”という仮定を想定しているかいないのか、認識合わせをするようにしましょう。そうしないとアンチパターンになります。
おわりに
この記事は永久保存アンチパターン集みたいな感じで、随時更新していこうかなと思ったりしてます(中止する場合もあります)。
追記してほしい事項あればご指摘ください。