えーまだリブラに対抗とか中国に対抗とかなんとかクソレベルの低い議論があるみたいですが(末尾に整理します)、
この動向についてかなり軽く、おさらいしておきます。
これまでの研究
日銀の場合、これまでCBDC発行予定はないと言ってきてますが、裏で研究は地道にやってます。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2019/rel191008b.htm/
つまり、共同研究の報道はなんにもないとこからパッと出てきた議論ではありません。
各フェーズの結論
結論ももう出ています。
- フェーズ1の結論…日銀ネットのような大規模システムには不適
- フェーズ2の結論…クロスチェーン・アトミック・スワップは複数台帳間の相互運用性の向上に資する
- フェーズ3の結論…資金を固定化、支払いを同期化することで安全性を確保できる
CBDCといっても日銀ネットのように日銀と日銀と取引をする金融機関の間のネットワークなのか、金融機関以外のエンドユーザーが直接利用する(デジタル通貨と聞くと直感的にはこちらを想起する人が多いかも)ネットワークなのかの整理がまず必要ですが、プロジェクトステラでは前者すらまだ不適であると結論づけています。まだはやい、と。
もちろん、フェーズ2の議論はHTLC(Hashed Timelock Contract)を用いたアトミックスワップの議論であり、Cosmos IBCのような分散的二方向ペッグの議論が無いので、これから議論がアップデートされてDLTが日銀ネットのような大規模ネットワークに実用可能という結論にこれからなる可能性も無きにしもあらずですが、すぐにはそのような結論にはならないでしょう。
チェーンXとチェーンYそれぞれにAさんとBさんが資産を保有していたとして、チェーンX上でのA→B送金とチェーンY上でのB→A送金を同時に行うようなイメージ。
チェーンX上のAさんのトークンX’を、チェーンYに送るイメージ。
まとめ
しょぼいニュースというわけではないですが、まったく今までになかった最新ニュースという感じでもありません。
ただひたすら着実に、という感じでしょう。
いずれにせよ、リブラに対抗とか中国に対抗というような、貨幣価値への無理解に基づくレベルの低い議論は、CBDCの議論を深める上で役に立ちません。
貨幣が流通するのは納税義務によるという租税貨幣論を否定できる貨幣論が現状存在しないので。。。