樺太・千島列島の法的立ち位置について神がかった記事があったのでメモとして残しておきます。
対露交渉、南樺太と千島の帰属問題を忘れていないか – 榊原智
日本が固有の領土である4島を放棄してはならないのはもちろんだが、ロシアに領有の正当な権利があるとは思われない南樺太、千島列島について、国境線画定の議論を起こしたらどうか。帰属を決める国際会議の開催が望ましい。
65年4月6日の衆院本会議における、北方領土返還に関する決議案に対する、自民党を代表しての賛成討論の中で、同党の佐藤孝行氏は南樺太、千島列島について次のように語った。衆院議事録から引いてみる。
「この際、サンフランシスコ平和条約によってわが国が一応領土権を放棄した得撫島以北の千島列島並びに南樺太について、わが党の見解を明確にしておきたいと存じます。得撫島以北の千島列島及び南樺太は、サンフランシスコ平和条約にいういわゆる戦争やどん欲によってわが国の領土に併合されたものではございません。」
「わが国が無条件降伏の結果として、同条約の2条に基づきその領土権を放棄する約束をいたしましたが、しかし、この約束は、あくまでも同条約の当事国に対してのみなされたものであって、ソ連に対して領土放棄したものでないことは、万人の知るところでございます。」
「その最終的帰属は、将来関係国間において国際的に定めるべき性質のものであって、サンフランシスコ平和条約に調印していないソ連が、一方的にこれに基づく権利を主張し得ないことは当然であり、わが国に関する限りにおいては、ソ連がこれらの地域を不当に占領し、支配しているといっても過言ではないと思うのでございます。(拍手)」
「したがって、もし将来この問題について国際的会議を開かれる場合があるとすれば、わが国は、これらの地域に対する領土の返還を求める権利を留保するものであるということを、ここに宣明いたしたいと存じます。(拍手)」
佐藤氏の演説に聞き入り、拍手した議場の衆院議員たちは、南樺太・千島にかかわる国際法上の問題を理解したことであろう。
安倍首相も政府も自民党も、南樺太・千島の帰属問題を放棄してはならない。国会で表明された「自民党の見解」を思い出し、戦略を練り直したらどうか。
問題の歴史の整理
- 1875年…千島樺太交換条約により千島列島全島が日本帰属に
- 1905年…ポーツマス条約により南樺太が日本帰属に
- 1945年8月14日…日本政府は連合国にポツダム宣言(無条件降伏)の受諾を通告
- 1945年8月16日…ポツダム宣言を受諾すると言っているにもかかわらずソ連が南樺太に侵攻開始、その後占領
したがって、
- 降参しますと言った相手に襲いかかっている
- 「領土不拡大の原則」に、ソ連は連合国側でありながら反している
と、ツッコミどころが満載です。