直接効用と間接効用

直接効用と間接効用

みなさんこんにちは。

昨日はこのような記事を書きました。

が、信用創造という国がやる行動をTetherもやっているだとか、アジア通貨危機となんとかなんとかとか、混乱した議論もやはり散見されています(信用創造は中央銀行ではなく民間銀行がやるもの)。

この混乱の原因は、アセットの価値はなにと参照関係を持っているのか(ようするになにがどのようにペッグされてるのか)を統一的に整理されてないからだと思います。

効用の参照関係、ようするに間接効用みたいな概念を作り出して、整理するフレームワークを提案します。

直接効用と間接効用

例えば酒屋があり、そこが紙でできたビール券(中ジョッキ1杯)を売ってたとしましょう。あと、同じ店が発行する期限切れのビール券も持っていたとします。

ビールの効用を\(U(Beer)\)とすると、これはシンプルにビールを飲んで得られる効用ですよね。こういうものをここでは直接効用とします。

次に、ビール券と、期限切れのビール券の効用をそれぞれ\(U(BeerTicket),U(BeerTicketExpired)\)とします。

直接効用を考えてみましょう。ビール券と、期限切れのビール券。そのままではどちらもただの紙切れですよね。これらの直接効用としては、メモ書きにも使えない紙切れとしての効用しかありません。

しかし、期限が切れてない方のビール券はビールと交換することで、ビールの効用\(U(Beer)\)を得ることが出来ます。つまり、交換する際には\(U(BeerTicket)=U(Beer)\)になる。

これを間接効用とします。

効用のレイヤー構造

ここで気づいていただきたいのですが、間接効用は直接効用があるものに交換されるから効用があるのであって、もし世の中すべての財に直接効用がなければ、世の中に間接効用は存在しません。

したがって、間接効用は、一層目となる直接効用の上に載る二層目のようなイメージで考えると良いです。

二層目間接効用
一層目直接効用

直接間接の語からして、説明するまでもないかもしれませんが…

各種財の分別

具体例をひたすら羅列していきます。

通貨

いまどきの通貨は、「納税しなければいけないもの」として国家が無から生成します。

国家が無から生成して、それを配り、それをまた納めろという感じで経済を循環させるわけです。

これを租税貨幣論といいますが、なぜかこんな単純な事実が意外にも理解されていません。

(通貨を発行する中央銀行は無から納税トークンを生み出すことができるので、中央銀行のバランスシートは本来なら通貨価値と関係ありません。でも関係あるものとしてみんな考えちゃうので、自己実現的に関係が出てしまっています。)

つまるところ、通貨には「納税をすることで脱税容疑を避けるまたは生活保護による名誉毀損を避ける」という直接効用があるわけです。同じ国に住んでいればこの効用を全員皆共有することになるため、同じ国内では強制通用力を持ちます

同じ国の中では、最強の流動性を持つことになります。だから尺度として使われることになるのです。

通貨の効用は、間接効用ではなく直接効用、ということになります。

一般的な財

パンでも白米でも鉛筆でもPCでもなんでもいいですが、これらは当然ながら直接効用が効用になります。

当たり前ですね。

ゴールド

重いし、使い道も思いつきませんが、直接効用があります。

地球では供給量が限られていてかつ価値の保存が効くことと、生産にコストが掛かったことで供給曲線が釣り上がって価格が高くなっていることから、資産ポートフォリオ要素として有用だからです。

間接効用はありません。

暗号資産

暗号資産も、間接効用はなく、直接効用がメインです。

ビットコインはゴールドに非常によく似た感じで、 地球では供給量が限られていて、生産にコストが掛かったことで供給曲線が釣り上がって価格が高くなっていることから、資産ポートフォリオ要素としての有用性は今後理解される可能性があります(ハッシュウォーとかしょうもないのがなければ)。

ビットコイン以外の暗号資産は大体、ブロックチェーンに手数料として支払うことで使える機能の効用が直接効用になります。

借用書

「いつ、いくら、お金を返します」との借用書は、直接効用としてはただの紙切れもしくは電子データです。直接効用のあるお金を返してもらう間接効用があるというわけです。

これはTetherのようないわゆるステーブルコインも同じです。

冒頭に紹介した昨日の記事ではTetherと内通する大口保有者の楽観によって信用創造が起こっている可能性があるとご紹介しましたが、このように担保額如何に関わらず間接効用がペッグに関わってきます。

株式

このへんから、直接効用と間接効用の両方を持ち合わせているのでややこしくなります。

まず、(変な種類株とかでなければ)会社の議決権という直接効用があります。

その次に、配当という間接効用があります(配当で得られるお金には直接効用がある)。

アジア通貨危機のときのタイバーツ

ここでわかりやすく要約してみましょう。

当時のタイバーツには当然ながら「タイに納税する」直接効用がありました。

それに加えて、「レートを大負けしてドルに替えてもらえる」という間接効用(直接効用は米ドルのもの)があったわけです。

タイに納税する直接効用と、米ドルに納税する直接効用は全くの別物であり、かつ供給量も違うので、価格が同じなはずはありません。

ですが中央銀行が無理やり間接効用を作り出したわけです。TetherのようなIOU型とこんなにも違うことが改めて分かると思います。

直接効用の主観性

直接効用はまんまと主観的な効用に依存します。みんなが価値あると思えばあるし無いと思えば無い。

一方で、間接効用をメインの効用とする財は、交換を保障するなんらかのルール、プロトコル、または主体が必ず存在します

例えばビール券なら酒屋が交換を保障してますよね。USDTはTetherが1ドルとの交換を保障しています。DAIだってMakerDAOというプロトコルがあるから、直接効用のあるEtherに戻すことができるわけです。

ここではっきりするのは、「担保」「裏付け」と言われるものはすべて間接効用に関係のある話であって、直接効用には担保や裏付けなどは関係ないということです。

まとめ

直接効用と間接効用を意識的に整理すると、かなり整理できるんじゃないでしょうか。

ここから言えることは、

なにかに交換できるというだけでは持続的な価値は無い

ということです。

エコビーくわばらくわばら。

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