流動性不足で何が起こるか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

みなさん、よく聞く「流動性」という単語、なんとなく使ってませんか?

今日は図で、流動性がなんなのか、流動性が不足するとなにがいけないのかをわかりやすく説明しましょう。

はい、こちらはみなさんご存知の需要曲線と供給曲線です。

ここで、以下2つの概念をわけて考えてもらう必要があります。

  • 個別需給曲線
  • 市場需給曲線

個別需給曲線を求めるには、需要なら主体iの効用最大化問題を解くと出てきますし、供給なら主体jの利益最大化問題を解くと出てきます。

くわしくは神取ミクロ読みましょう。しつこいですが、マジです。

で、市場需給曲線のほうは、個別需給曲線の総和を計算することで求まります。

市場需給曲線は、個別需給曲線を市場参加者の数だけすべて足したもの、ということになります。

縦軸と横軸

総和と言っても、価格ではなく数量で計算します。しかし数量は横軸にありますね。

需要関数も、「需要は価格の関数」を意味するものなので、本来なら数量が縦軸に来ていいですよね。

こうなってないのは、経済学者マーシャルから続く悪しき風習です。気になった方もいるかもしれないので注釈。

関数の形状

で、数学の定義に厳密なひとはピンとくるのかもしれませんが、この個別需要関数と個別供給関数は、連続である保証がありません

関数の連続性と一様連続性

難しいですが、関数のグラフを書いてみて、ちぎれてるところがなければ連続です。

例えば、階段のような形をしている階段関数は、連続ではありません(図はfloor関数)。

現実的に考えれば、コンタクトレンズを0.5個欲しがるような人はいませんよね。1個欲しがる人もほぼおらず、2個欲しがる人はいるでしょうが3個欲しがる人も多分少ないですね。

しかしながら、中学校の公民やウィキペディアでは市場需要関数も市場供給関数もなめらかに書かれていますね。連続であるように図は描かれています。

連続であるようにして均衡取引量や均衡価格も示されています。

これはなぜかというと、

個別需給関数がどんな形であろうと、多くの主体の個別需給関数の総和である市場需給曲線なら非連続性なんて誤差やしスルーでええやろ、知らんけど

って感じのノリです。

(本当は知らんけどなどと経済学者は開き直ったりはしておらず、真剣にこのような単純化が現実的に妥当か考慮した結果がこれです。実際、階段の図をとことん縮小すれば坂に見えてくるはずです)

言い方は悪いですが、数学の厳密な論証をできないところを、モデルの単純化が現実的に妥当かを論理で示して通り抜けられるところが経済学のおもしろいところでもあります。

主体が多くない場合

主体が十分多いと先程のノリで全く問題ないのですが、主体が少ないと先程の前提がなりたちません。需給関数がそれぞれ、連続にならないようにギザギザしてきます。階段関数のように描いた例でいうと、赤線青線のようになってきます。

このような状態は、株や為替、暗号資産によくある取引板の概念でいうと、板が薄い状態です。

そしてこの状態を、流動性不足と形容します。

流動性とは、「需給曲線の滑らかさ」だと言い換えてもいいでしょう。

間違っても、供給量(=均衡取引量)と取り違えてはいけません。

間違っても、ブロックチェーンプロトコルに定義された供給量(=Qの最大値)と取り違えてはいけません。

流動性不足により起こること

さらに階段を粗くした図で説明します。

流動性が十分あればは点Eのところで需給が均衡するはずだったのが、階段が粗すぎて均衡点Eの代わりに紫色の部分で交差する部分ができています。

この場合、紫色の線の上で取引が成立することになるのですが、紫色の線があるところは均衡点Eよりも価格が低くなっています。

つまり、流動性が不足すると流動性が十分にあるときよりも取引価格を下げざるを得なくなるというわけです。

また、それ以外(価値など)には流動性に関係はないとも言えます。

(価値は効用の程度で、価格とは別物です)

古典派経済学およびマルクス経済学は商品の価格が供給側(企業)の労働投入量のみによって決定されるという「労働価値説」(客観価値説)を採用していた。これに対して、限界革命を経て誕生した近代経済学(新古典派経済学)は商品の需要側(家計)の限界効用と供給側(企業)の限界費用の相互関係によって商品の価格が決定されるというアプローチを取った。とりわけカール・メンガーを祖とするオーストリア学派の主張は、「労働価値説」と対比的に「効用価値説」(主観価値説)とも呼ばれる。

効用 – Wikipedia

取引高

取引高とは、取引量の、ある期間内の時間に関しての総和を意味します。

よく「取引高が大きいと流動性がある」とも言われますが、これについてもみてみます。

需給曲線がなめらかになるには、多くの主体が市場に参加することが必要ですが、これを満たせば自ずと取引量、さらに取引高は増加します(数量に関して個別需給曲線を足すため)

流動性を原因として、取引高が結果となる相関関係があるといえます。

しかしながら、あくまで取引高は結果であり、流動性の原因ではありません。

因果関係的に、取引高はあまり流動性とはなにかの説明にはならないと考えられます。

結論

流動性とは、需給のマッチングのしやすさに過ぎませんが、図にすると整理しやすいのではないでしょうか。

長文読んでいただきありがとうございました。

※経済学の教科書にも流動性の説明はあまりありません。この記事も、どの本に書いてあるみたいなものではなく、様々な情報を総合して書いています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

nemをつかった投げ銭