Multi-collateral、ようするに複数種類の担保がある、ステーブルコインというのが現実的に考えられますね。
※ステーブルコイン…ブロックチェーン上で従来の仮想通貨と違い法定通貨のようなものと価格がほぼ等しく安定するアセットのこと
【MakerDAOとStablecoin】Collateralized Debt Position Smart Contractsの仕組み
<仕組み解説>Guidelines of MakerDAO&dai
MakerDAOの場合、ETH担保だけじゃなくてほかのEthereum上のアセットを担保に入れられるようになるのかと。
MakerDAOとはなにかとめちゃくちゃ簡単にいうと、ETHなど仮想通貨を担保にステーブルコインDAIをつくりだすもの。
そこで以下のような状況を思い浮かんだので読んでみてください。
ここに、MakerDAOと、MakerDAOを完コピした複製物があるとする。それぞれをオリジナル、コピーと呼ぶ。
オリジナルのステーブルコインをDAI、コピーのステーブルコインをDAI’と呼ぶことにする。
両者はETH含む複数アセットを担保に、エコシステムを作っていったが・・・
次第に
- オリジナルの担保にDAI’が
- コピーの担保にDAIが
入れられていった。価格が安定しているのでETHよりも暴落リスクが少なく、安定するからである。
そしてその動きは加速し、
- オリジナルの担保がDAI’のみ
- コピーの担保がDAIのみ
になったとする。
このような状況ではDAIとDAI’は価値の根源を循環参照しているので、価格決定はトートロジーとなる。つまり
- DAIの価格はDAI’とほぼ同じ
- DAI’の価格はDAIとほぼ同じ
になり、トートロジーとなって価格が決定できない。価格は論理的にはゼロになる。
ここで疑問。
このような状況に陥ることを防ぐインセンティブを分散的に実装できる?
思考実験っぽく考えてみてください~。
現実的にはあまり起こらないと思いますが、可能性はゼロではなく、起こると致命的です。
個人的にはトラスト化する以外にパッと出てこない。
11/25追記
③に関して今気づいたのですが、担保上限を定めても同じ問題が起こるので、最初から受け入れてはいけない ことに気づきました。
例えばこのような状況です。
- DAIの担保は0.6ドルのDAI’と0.9ドルのETH→準備率1.5としてDAIは1ドル発行される
- DAI’の担保は0.6ドルのDAIと0.9ドルのETH→準備率1.5としてDAI’は1ドル発行される
このような状況では、DAI、DAI’ともに実質的な担保は1ドルのDAIあたり、0.9ドルだけ(つまりETHのぶん)になってしまいます。
つまり、
そしてその動きは加速し、
- オリジナルの担保がDAI’のみ
- コピーの担保がDAIのみ
になったとする。
↑このような極端な状況でなくても身近に起こる問題であり、担保上限では解決できないということです。
担保に入れられるアセットのホワイトリストを作るにしても、
- 中央がホワイトリストつくる←中央集権になる
- 分散的に投票とかでホワイトリストつくる←このような状況に陥ることを防ぐインセンティブを実装できる?と、問題はループしてきます。