Not trustless, but riskless Stable Coin

LCNEMの新ホワイトペーパーが発表されましたね。

LCNEM

新ホワイトペーパーの副題は”Not trustless, but riskless Stable Coin”となっております。

この新ホワイトペーパー、英語で書いたので、日本語で解説の場をここに設けたいと思います。


アドレス@lc

nemのネームスペースlcを取得しているアドレス@lcは、lc:xxxモザイクを発行するだけの役目を持ちます。発行したあと、以下で説明するプールアドレスに発行したlc:xxxモザイクをすべて預けます。

LCNEMによりマルチシグで管理されます。

プールアドレス

アドレス@lcで発行されたlc:xxxモザイクはすべてこのプールアドレスに預け入れられます。

このプールアドレスはマルチシグアカウントであり、以下で説明する@lcnemとIssuerたちあわせて2/3以上の署名がないと引き出すことができません。

Issuer

実際にLCモザイクを発行する業務を行う人です。Issuerになると、プールアドレスに署名する権限が与えられます。

Issuerは、以下の義務があります。

  • 身元を明かし、担保となる資産を開示する
  • 別のIssuerが、LCモザイクを発行するためにプールアドレスから引き出すリクエストを出したとき、担保資産に余力があるか確認してから署名する。もし担保がないのにリクエストが出されていた場合、不正行為とみなす。
  • 不正行為をしたとみなされたIssuerがいるとき、強制捜査をするかしないかに投票する。強制捜査が否決された場合、LCNEMは不正行為をしたIssuerをNetworkから退出はさせない。

Issuerへの参加はLCNEMにより制限があります。

アドレス@lcnem

アドレス@lcnemは、LCNEMの管理するアドレスで、Issuerと@lcnemがあわさってIssuers Networkを形成します。@lcnemはLCモザイクを発行しませんが、プールアドレスへの署名の権限と、Issuers Network内の投票の権限をもちます。Issuers Networkの調整役として働きます。

手数料のインセンティブ

Issuerはペグトークンの発行の際、LCNEMの許可必要なく自由にユーザーから手数料をとることができます。これがIssuers Networkに参加するインセンティブとなります。

この手数料は、各Issuer間で自由競争をすることになります。

画像はリクナビより引用。

LCNEMはtetherのように一つの組織が手数料を徴収してペグトークンを発行するのではないので、手数料は独占価格になりません。

あるIssuerがぼったくろうと思っても、ほかのIssuerに客が流れてしまいますね。ほかのIssuerに負けじと良い手数料にしていくという自由競争の結果、厚生を最大化する最適な手数料に収束します。

監視しあうインセンティブ

Issuerは、互いに不正をしないように監視しあうインセンティブを持ちます。

例えばあるIssuerが担保資産なくLCモザイクを発行するとします。担保資産がないということは、正直にLCモザイクを発行するIssuerがバカを見るだけでなく、無担保で発行されたLCモザイクに対して法定通貨で返すという尻ぬぐいをする羽目になります。

Issuerはこれを防ぐべく、互いに監視しあうインセンティブを持ちます。

このような仕組みにより、

  • 不正が起こりにくい
  • 手数料が最適な価格に収束する

ようになっています。

政府発行のデジタルコインについて

LCNEMのように民間のStableCoinプロジェクトは、政府発行のデジタルコインよりも経済厚生を改善する可能性が高いです。

例えば政府発行のデジタルコインはブロックチェーンと関係なく非分散的に管理されるなら、維持コストは莫大なものになるでしょう。そんな非効率なものに税金使って維持してほしいでしょうか?

また一方で政府発行のデジタルコインをブロックチェーンで管理するなら、どのブロックチェーンを使いますか?独自?またはEthereum?NEM?

まあEthereumやNEMのように現状ではファイナライズされないものを政府や中央銀行は特に先進国なら使いたがらないでしょうね。(ベネズエラは知りません。)

独自チェーンなら、パブリックにできますか?インセンティブ設計どうしますか?相当難しいですきっと。

また、政府発行のチェーンの使いやすさはどうなるでしょうか?政府チェーンだと競争がなくなるので、JRになる前の国鉄と同じでユーザビリティは最適化されないことが考えられます。

以上より、政府の法定通貨チェーンが効果を発揮できるのは、中央銀行の当座預金を管理する銀行間のコンソーシアムブロックチェーンくらいまでだろうと考えています。

パブリックなチェーンにおいては、LCNEMやMakerDAOのような民間プロジェクトが切磋琢磨しあったほうが、独占による厚生損失もなくなりますし、間違いなく効率的です。チェーンとしての競争にもなりますからね。

これが、民間によりStableCoinが実現されるべきと考えている理由です。

LCNEMは、トラストレスではないが、トラストであるおかげでトラストレスStableCoinよりも安定性のあるStableCoinを、自由競争により経済厚生が最大化される環境で発行されることを推進します。

カテゴリーNEM