コア派とキャッシュ派の対立に経済学的ジャッジを下します

コア派とキャッシュ派の対立、知ってますか?

サトシナカモトの聖書論文の教えにまつわるビットコインコア派とビットコインキャッシュ派の宗教戦争対立です。

ビットコインはブロックサイズが1MBと決められており、送金詰まりが頻繁に発生し、送金手数料が高騰しています。そこでブロックサイズを大きくしてスケーリングするか、別の対策をしてスケーリングするかということで対立し、ブロックサイズを大きくしたいキャッシュ派がビットコインキャッシュを作ったという感じです。

この対立だけでなくビットコインの立ち位置、ビットコインキャッシュの立ち位置を踏まえ、経済学的なジャッジを下したいと思います。

目次

  • スケーリングに関する注意点
  • ビットコインのスケーリング
  • ビットコインキャッシュのスケーリング
  • ビットコインの立ち位置
  • ビットコインキャッシュの立ち位置

スケーリングに関する注意点

手数料をユーザーが任意に設定できるブロックチェーンでは、むやみにスケーリングすることはよくなく、注意することが必要です。

市場原理が働かず送金手数料が最低に張り付き、ノードがP2Pネットワークに参加するインセンティブが失われていくからです。

こういう状況の時は、ユーザーはトランザクションをブロックからこぼされたくないので、速い送金を求めるほど高い手数料を提示しますよね。

でも

こういう状況のときはいくら安くしてもこぼされないので、ユーザーは手数料を最低に設定します。

供給曲線の傾きが非正になるで、市場原理が働かないんですね。

こういう状況でビットコインやビットコインキャッシュのマイナーが採算を見込めるかというと難しいですよね。結果計算力が落ち、セキュリティが低下します。

対策として、NEMでは手数料最低水準が決められています。手数料最低水準があるならいっそのこと固定にしちゃったほうが良いという記事を書いたこともあります。

NEMは手数料任意制をやめるべき

ビットコインのスケーリング

ビットコインコア派はビッグブロック化ではなく「ライトニングネットワーク」のようにチェーン外のセカンドレイヤーにスケーリングすることによってスケーラビリティ問題に対処していくようです。

ビットコインキャッシュのスケーリング

ビットコインキャッシュは冒頭で述べた通り、ブロックチェーンのブロックサイズを大きくすることによってスケーラビリティ問題に対処していくようです。

ビットコインの高騰する送金手数料にしびれを切らし、ビッグブロック化によって普及しやすくするという目的があるようです。

しかし「ビッグブロック化」することによって、ノードの維持コストは増大する上に、先ほど説明した原理によってマイニング報酬が減るため、ノードの数を維持するのは難しくなります。

そこまで考えられているのでしょうか…?

ビットコインの立ち位置

ビットコインは「デジタルゴールド」のポジションを着実に取りつつあります。

マイニングコストが価値担保になるなどという謎理論は正しくないですが、マイニングがゴールド採掘を連想させ、ビットコインが「デジタルゴールド」のポジションをとりつつあるのは正しいです。

ゴールドにも価値担保はなく、ただただ市場参加者の共同幻想によって価格が高くついていますから、なおさらマイニングされた暗号通貨にも価値担保があるはずはないです。が、ビットコインはビットコインという銘柄のブランド力により、送金がほかの仮想通貨に比べて不便であっても価格がつくわけですね。

法定通貨・仮想通貨の価値を数式で考える

で説明したように、\(U_{service}\left(x_{btc}\right)\)が\(U_{service}\left(x_{eth}\right)\)より小さくても、ブランド性の効用\(U_{brand}\left(x_{btc}\right)\)を大きいと感じる人が多いんですね。

ビットコインのメインチェーンがほか(RippleとかEthereumとかNEMとか)に比べて不便でも、ビットコインに価格がつくことがわかってきたわけです。

(セカンドレイヤーで機能を付け足していけます)

ビットコインキャッシュの立ち位置

ビットコインキャッシュ派の一部には「ビットコインキャッシュこそがビットコインだ」という人もいるようですが、これはコンセンサスを得ておらず、ビットコインキャッシュは銘柄としてはあまりブランド力を持っていない状態です(だからビットコインキャッシュこそがビットコインになってほしいんでしょうね)。

そんな中ビットコインとの差別化点ともなる、OP_GROUPというビットコインスクリプトを、プロトコルレベルのアップデートで実装するようです。OP_GROUPを使えば、EthereumのERC20やNEMのモザイクのようにトークンを発行できるわけです。

ビットコインほどブランド力がなく、またビットコイン同様にEthereumなどより機能が少ない状態ではよろしくないので、まあこれは一つの手でありましょう。

つまりビットコインキャッシュは、メインチェーンはそのままにセカンドレイヤーでスケーリングするビットコインとは対照的に、いろんな機能をメインチェーンに取り込んでいくという道を行くわけですね。

ビットコインキャッシュの矛盾①コンセンサスアルゴリズム

ビットコインキャッシュはビットコインからフォークし、サトシナカモト論文に忠実であるようなので、おそらくコンセンサスアルゴリズムをEthereumのようにPoWから変えていく気はないように思います。

ですがPoWは電力コストがマイナーにかかるため、マイニングを赤字にせずP2Pネットワークを維持していくためには、その電力コストを手数料に価格転嫁する必要性が生じます

一方、PoSに移行していくEthereumや、PoS系のアルゴリズムPoIを採用しているNEMは相対的に電力コストが小さく、そこまで価格転嫁しなくともネットワークを維持することができます。

そのため、コンセンサスアルゴリズムをPoWにしたままPoS系のチェーンとブロックチェーンの利便性競争をしても、非常に厳しい戦いを強いられることは想像に難くありません。

ビットコインキャッシュの矛盾②ブランド性とトランザクション手数料

ビットコインキャッシュがビットコインのようにブランド性を得て価格が上昇した場合、トランザクション手数料がほかの資産建てでみると高騰します。

すると、再び同じことになりますが、ブロックチェーンの利便性競争をしても、厳しい戦いを強いられることになります。XEMみたいなブランド全くない安~い通貨でNEMみたいなチェーン使うほうが利便性では勝りますからね。

つまり、メインチェーン多機能路線とブランド路線は両立しえません。

まとめ

$$ U\left(x_{bch}\right)=U_{service}\left(x_{bch}\right)+U_{brand}\left(x_{bch}\right)+U_{others}\left(x_{bch}\right) $$

において、\(U_{service}\left(x_{bch}\right)\)をあげていこうとしてもPoWが足かせとなって厳しい戦いを強いられますし、\(U_{brand}\left(x_{bch}\right)\)をあげようとしても手数料評価額が高くなって厳しい戦いを強いられるわけです。

さらに、ノードの維持に関してももう少しチェックが必要でしょう。

ビットコインがなぜ矛盾なくやってこれたかというと、ビットコインキャッシュには足かせになると思われるPoWによって、逆にゴールド採掘を連想させ、市場にブランド力という共同幻想を生むことに成功しているからです。これはほかには真似できません。また、メインチェーンに機能をつけ足していこうとしていないからです。セカンドレイヤーに変な機能をつけちゃっても、ビットコインのブランドが傷つくことはありません。

これが、ビットコインとビットコインキャッシュには大きな関心を持っていない中立的立場からの経済学的なジャッジです。

お気に障ったとしても刺さないでください。

この記事が中立じゃないと見えてしまう方へ

裁判でもなんでも結果がどっちかに寄るのは不可避で、そんなことよりもスタート地点が中立であることこそが大事です。ぼくはビットコインもビットコインキャッシュもポートフォリオに入ってませんし、中立スタートですよ。

追記

・↑にも書きましたが、中立というのはポートフォリオに一つも入っていないためポジショントークではないことを宣言する以上の意味はありません。というか、内容が中立なんて存在しないと思います。

よく考えてください、結果中立なジャッジって、それジャッジしてなくない?笑笑

中立観点からのジャッジと言ったらスタート地点が中立以外にありえないでしょう。

・それと、歴史的ジャッジ下してるものでもありません。表面的なシステム設計部分のみを見たものであり、歴史的にもこっちが良いとかは元から言うつもりありません。

ムキになって対人攻撃してくるキャッシュ派の人が多かったです。そんなんでコミュニティ外からの理解得られると思いますか?内輪ノリで終わりますよ。

その2点、訂正しておきます。

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